海も暮れきる 吉村昭

咳をしても一人

 

状況がシンプルに表現されていて、良いなと思った。

 

尾崎放哉という人は、エリートなのに隠遁した世捨て人とのこと。

どんな人なんだろうと興味を持った。

 

蓋を開けたらとんでもない奴だった。

酒癖悪い、プライド高い、生活力ない(知り合いに金せびる)

そのくせ必要に迫られてなのか、寂しいからか人との関わりは持とうとする。

 

とんでもない奴だからこそ窮地に陥り、それゆえに素晴らしい句ができた。

 

著者も結核経験者ということで、描写が凄まじい。

読んでいて鬱々となってくるが、そんな中でも喜びや希望を見出そうとする描写が素晴らしかった。